宗像大社・辺津宮「神宝館」
開館年
1980年(昭和五十五年)
建築様式(造り)
鉄筋建築・地上3階建て
屋根の造り
陸屋根
※陸屋根(ろくやね)とは:ほどんど傾きのない屋根
宗像大社・辺津宮「神宝館」設立の経緯と歴史
神宝館(しんぽうかん)は、宗像大社の沖津宮がある「沖ノ島」の古代祭祀遺跡から出土した数々の神宝や、
宗像地域の文化財、奉納された古文書などを収蔵・展示するために設立されました。
神宝館は、沖ノ島の出土品や宗像地域の歴史を知るための文化財を展示・紹介する博物館であることはもちろん、「海の正倉院」とも呼ばれる沖ノ島の保管庫の役割も担っているのです。
宗像大社「神宝館」の歴史
- 1942年(昭和十七年)
「宗像神社復興期成会」(現・宗像大社復興期成会)が結成 - 1954年(昭和二十九年)から1971年(昭和四十六年)
沖ノ島の遺跡群の発掘調査 - 1959(昭和三十四年)
建設・奉納された「社宝収蔵庫」に神宝を収蔵 - 1964(昭和三十九年)
「宗像郡重要文化財共同収蔵庫(宝物館)」を建設 - 1980(昭和五十五年)
現在の「神宝館」を新築
沖ノ島は島自体がご神体とされる神聖な島で、一般の人の入島は厳しく制限されていましたが。
しかし、戦後、出光興産の創業者で宗像出身の出光佐三が結成した「宗像神社復興期成会」が中心となり、古代祭祀遺跡の大規模な発掘調査が3回に渡って行われました。
いくら調査とはいえ、神が宿るとされる島に人が足を踏み入れ発掘作業をすることに反対する人も多く、祟りを恐れる声もありましたが、出光氏は必ず日本のためになると考えて調査を実施し、その結果、学術的に非常に価値が高く、後に国宝指定される多くの神宝が発見されることとなったのでした。
この発掘調査の費用は出光氏の私財によって賄われた部分が多かったものの、調査の進展により、宗像大社が「文化財管理団体」の指定を受けたため、国や県からの補助金が出るようになりました。
それに復興期成会などの団体が寄付を募って集めた資金も加わり、1964年には「宝物館」が建設されています。
さらに、それまでバラバラの場所で保管していた神宝・社宝を一括で収蔵し、防災や警備に万全を期す目的で、1980年には現在の「神宝館」が誕生しました。
なお、「宝物館」の建物は、現在、収蔵庫として使用されています。
沖ノ島の古代祭祀や宗像大社の歴史については、当サイトの以下のページ↓でご紹介しています。
宗像大社(沖津宮・中津宮・辺津宮)の「歴史・由来」と、ご祭神・宗像三女神の「名前の由来・ご神徳(ご利益)」など
宗像大社・辺津宮「神宝館」の所蔵品・展示物
所蔵品点数
約12万点
※うち国宝約8万点※
- 登録名:
「福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品・伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品」 - 国宝指定年月日:1962年(昭和三十七年)6月21日
展示点数
約300点
所蔵品の種類
鏡、人形、武器類、工具、装飾具、馬具、土器、貝製品など
神宝館の収蔵品の中心は、沖ノ島の古代祭祀遺跡から出土した、古墳時代から平安時代(4世紀~10世紀頃)の祭祀や交易の様子をうかがわせる神宝の数々です。
上述の3回の発掘調査の際に出土した約8万点は、一括で国宝指定されています。
神宝館には、その他のものも合わせると約12万点が所蔵され、そのうち常設展示されているのは300点あまりですが、特別展が開かれることもあります。
沖ノ島の出土品に加えて、古文書、経石、狛犬、よろいなど、宗像地域に伝わる文化財も所蔵・展示されており、そのほとんどが国宝または重要文化財に指定されています。
なお、館内での写真撮影は基本的に禁止されておりますのでご注意ください。
宗像大社・辺津宮「神宝館」の見どころ
神宝館は3階建てになっており、それぞれの階でテーマ別の展示が行われています。
館内は写真撮影禁止のため、写真をお見せすることはできませんが、特に注目すべき見どころをご紹介します。
ぜひ、現地で実物をご覧ください!
なお、宗像大社では、沖ノ島の出土品のうち、劣化が激しいものの修復を進めており、2015年度から2017年度の間に275点の修復作業が完了しています。
更に2025年ころまで修復作業を進め、神宝のさび取りや補強が行われて、一部は2018年7月以降、神宝館にて一般公開される予定となっています。
1階
1階には、宗像大社・辺津宮に長年保存されていた美術工芸品が展示されています。
<展示の目玉>
- 阿弥陀経石【重要文化財】
- 石造狛犬【重要文化財】
どちらも鎌倉時代に中国(宋)から渡来したと考えられています。
宗像地域が日本と大陸との交易で栄えていた様子をうかがい知ることができる、貴重な資料となっています。
2階
2階には、沖ノ島の古代祭祀遺跡から発掘された神宝が展示されています。
<展示の目玉>
- 金製指輪(国宝)
5世紀のものと考えられる純金製の指輪で、花や円の紋様と輝く金色が美しく、神宝館では一番の見どころとなっています。
- 三角縁神獣鏡(国宝)
神話に登場する霊獣が描かれた、3世紀の鏡です。
- 金銅製龍頭(国宝)
祭礼などの際に竿の先に取り付け旗などを吊るすための金具で、龍の頭の形をした大変豪華なものです。
壁画などには見られるものの、本物が出土した例は世界の中でも唯一ということです!
3階
3階は、古文書や社宝、宗像地域の郷土資料を展示しています。
<展示の目玉>
- 宗像神社文書(重要文化財)
- 式定法師一筆一切経(重要文化財)
- 三十六歌仙扁額
「宗像神社文書(もんじょ)」は、平安時代から戦国時代頃の約300点と、江戸時代の約3000点からなり、中世文書のほとんどが重要文化財に指定されています。
古来、宗像大社の大宮司職を世襲していた宗像家に関する資料や、中世の神事の様子を伝えるものなどがあります。
宗像大社・辺津宮「神宝館」の営業情報「営業時間・定休日・入館料」
- 営業時間:9時~16時30分 ※最終入館16時
- 定休日:年中無休
- 入館料:一般800円、高校生・大学生500円、小学生・中学生400円
宗像大社・辺津宮の参拝時間や駐車場などについては、当サイトの以下のページ↓でご紹介しています。
宗像大社・辺津宮の見どころと拝観情報「営業時間(拝観時間)・拝観料金・駐車場の場所など」※境内マップ付き
神宝館の入館料割引
以下の条件に該当する場合は、入館料の割引が適用されます。
- 20名以上の団体
- 満65歳以上の方 ※年齢を証明できるものを提示
※割引料金(団体・シニア共通):一般600円、高校生・大学生300円、小学生・中学生200円
なお、以下の障害者手帳などを提示する本人は無料になります。※介護者の割引はありません。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証
神宝館(宗像大社・辺津宮)の問い合わせ先
- 住所:福岡県宗像市田島2331
- 電話番号:0940-62-1311
神宝館の場所
神宝館は、宗像大社・辺津宮の拝殿・本殿に向かって左側の廻廊から外に出た先にあります。
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