博多三大祭りの1つに数えられる、筥崎宮の「放生会」をご存知でしょうか?
歴史ある放生会には、長年人々に愛され続ける名物の授与品や露店があります。
こちらのページでは、放生会の名物として知られるチャンポン、おはじき、新しょうがの、歴史や由来、販売場所や値段などについて、詳しくご紹介します。
その1.筥崎宮・放生会の「チャンポン」とは?
放生会「チャンポン」の歴史(由来)
チャンポンとは、長崎の郷土料理として有名な麺料理・・
ではなく、一般的には「ビードロ」、あるいは「ポッピン」「ポピン」などと呼ばれる、ガラス製のおもちゃです。
喜多川歌麿の「ビードロを吹く女」の絵で見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。
細くなった部分から息を入れ、吹いたり止めたりすると、薄く作られた底の部分が膨らんだり戻ったりして、ペコペコと音が出ます。
その音を「チャンポン、チャンポン」と聞いた人が、「チャンポン」という名前で呼び始めたのが、放生会のチャンポンの名前の由来です。
戦前は「ピンポン」という人もいましたが、戦後、一度廃れたチャンポンを復活させた際、「チャンポン」という呼び名で報道されたため、現在は主に「チャンポン」と呼ばれています。
放生会のチャンポンは、江戸時代終盤の1832年(天保3年)に、福岡の上名島(現在の中央区舞鶴)の醸造元、小川宇平がガラス製造を始めたことに由来すると言われています。
ある時、長崎から来たという男に「何か芸はないのか」と聞くとガラスを作れると言うので、かんざしやグラスなどを作り始めました。
チャンポンは量産できないこともあり、放生会の限定品として売り出されました。
すると、たちまち人気を集め、本人は「びいどろ屋宇平」と呼ばれるようになったといいます。
当時はガラスが貴重だったためチャンポンも高級品でした。
中には1mもある特大チャンポンもあったそうです。
ちなみに、このおもちゃの名前は「ビードロ」だとご紹介しましたが、実はビードロとは、ガラスを意味するポルトガル語”vidro”から来ています。
現在のチャンポン
現在、放生会で売られるチャンポンは、県内の職人さんが1つ1つ手作りしたもので、絵付けは筥崎宮の巫女さんなどが担当しています。
2000年から筥崎宮のチャンポンの製作を担当している職人さんは、現在ではたった一人です。
一時は2000個前後が販売されていましたが、職人さんが高齢になり、たくさん作れなくなったため、2019年の放生会では840個の予定となっています。
チャンポンは大きさなどが異なる7種類が用意され、値段は3,000円~9,000円です。
毎年大人気で、販売される9月12日の朝には、8時前から並んで待つ人もいて、大概、即完売してしまいます。
チャンポンの販売日・時間
- 放生会初日(9月12日)の8時から
チャンポンの販売場所
- 筥崎宮社務所(授与所)
その2.筥崎宮・放生会の「おはじき(放生会はじき)」とは?
縁起物!筥崎宮の「おはじき」の歴史(由来)
筥崎宮・放生会の名物「おはじき」は、博多人形の職人さんのグループ「博多人形白彫会(はくちょうかい)」が製作する素焼きの観賞用おはじきです。
おはじきというと、ガラスやプラスチックでできた1円玉ほどの大きさのものをよく見かけますが、筥崎宮のおはじきは粘土製で、直径は2㎝ほどです。
博多には伝統工芸「博多人形」がありますが、その人形師さんたちは古くから粘土製のおはじきなどの玩具も手掛けており、これを復活させたのが放生会はじきでした。
白彫会では、1978年から地域の文化にちなんだ「博多おはじき」を作り始め、1980年からは筥崎宮の依頼により、放生会用の「放生会はじき」と、通年販売用の「縁起はじき」を製作するようになりました。
放生会はじきは、1991年から、毎年設定されるテーマに沿ったおはじきセットになり、1箱25個入り3,000円で販売されました。
おはじきは、「厄や災いをはじく」ということで、災難厄除けのお守りとされる縁起物です。
「放生会はじき」は販売中止?理由は・・
ご紹介した通り、筥崎宮には「放生会はじき」という名物のおはじきがありました。
おはじきは製作から箱詰めまで人形師さんたちが担当し、毎年放生会の時に、年により1200~1400箱程度の数量限定で販売されていましたが、主に以下のような問題があり、神社側からの提案により、2017年からは販売中止となりました。
①毎年テーマが変わる上、数量限定のため希少価値に注目が集まった結果、人気が過熱
徹夜で並ぶ人が増え、騒音や、駐車場待ちの車によって周辺住民の生活に影響がおよび、苦情が出るようになった
神職が苦情対応に忙殺され、神事に支障が出ることがあった
販売直後にネットオークションにかけられるなど、高額転売が目立つようになった
購入希望者から、「並ばないと買えないのはおかしい」という苦情が出るようになった
ピーク時は放生会はじきのために1000人以上が並び、夜な夜なおしゃべりをしたり仮眠をとったりしていました。
②放生会はじきのため、白彫会会員が1人2000個以上のおはじきを作る必要があった
会員の高齢化が進み、たくさん作るのが難しくなりつつあり、今後同じように製作を続けていくのは不可能
人形師が本来の仕事である人形の製作に専念できない
放生会はじきは、販売用の他、氏子へ配るものもあったため、人形師1人あたり2000個以上のおはじきを作る必要があり、今後継続して提供することに不安がありました。
2018年からは通年販売の「筥崎宮おはじき」へ
放生会はじきは販売中止・・では、筥崎宮のおはじきはなくなってしまったのでしょうか?
いえいえ、筥崎宮の白彫会では、放生会はじきに替わるあらたなおはじきについて協議を重ね、2018年からは、通年で「筥崎宮おはじき(筥崎宮はじき)」が販売されることになりました。
「放生会のみ」「数量限定」というレア感を薄れさせることで、高額転売などの問題を解消し、並ばなくても購入できる神社の授与品の1つにしようというわけです。
これに伴い、通年販売されていた「縁起はじき」も、在庫がなくなり次第販売終了ということになりました。
筥崎宮おはじきは筥崎宮の鳥居や楼門、燈篭、花や祭りなどをモチーフにした20種類がセットになっています。
1つ1つ、担当する職人さんが決まっており、放生会はじきと変わらず、丁寧に手作業で作られています。
大きさは、見劣りしないようにということで、放生会はじきよりも若干大きくなっています。
通年販売となったものの、数には限りがあり、一時的に完売となる場合があります。
完売、再販などの情報は、筥崎宮のホームページで確認できます。
筥崎宮おはじきの種類と値段(初穂料)
- 桐箱入り:3,000円
- 額縁入り:12,000円
筥崎宮おはじきの販売場所
- 筥崎宮社務所(授与所)
※独自にチャンポンやおはじきを取り扱う露店も出ていますが、社務所で販売されているものとは別物です↓↓
おはじきの販売時間
- 放生会期間中:7時30分~22時頃
- 通常:7時30分~18時頃
筥崎宮おはじき20個のモチーフ一覧
- 御神紋
- 扁額(敵國降伏)
- 筥松
- 一之鳥居
- 楼門
- 御神輿
- 利休灯籠
- 湧出石
- 鬼瓦
- 亀山上皇
- 高灯籠
- 玉せせり
- 承天寺詣り
- 放生生露店
- なまこ餅つき
- お潮井てぼ
- 池島殿わらじ
- チャンポン
- ぼたん
- 八幡鳩
なお、筥崎宮では、干支のおはじきが付いた「厄はじき守」も授与されています。
「放生会はじき」過去のテーマ一覧
以下では、販売を終了している「放生会はじき」の過去のテーマをご紹介します。
- 1991年(平成3年):博多の祭り
- 1992年(平成4年):寿づくし
- 1993年(平成5年):子供の遊び道具
- 1994年(平成6年):なつかしの童謡集
- 1995年(平成7年):博多の四季
- 1996年(平成8年):懐かしい子供の遊び
- 1997年(平成9年):みのりの秋
- 1998年(平成10年):博多の生きものたち
- 1999年(平成11年):スポーツ
- 2000年(平成12年):博多の歳時記
- 2001年(平成13年):筑前の名所
- 2002年(平成14年):博多の名物と四季の花
- 2003年(平成15年):福博のレトロ
- 2004年(平成16年):アテネオリンピック
- 2005年(平成17年):古代のロマン
- 2006年(平成18年):寿・縁結び
- 2007年(平成19年):五節句
- 2008年(平成20年):放生会
- 2009年(平成21年):思い出の童謡・唱歌
- 2010年(平成22年):世界遺産
- 2011年(平成23年):九州新幹線
- 2012年(平成24年):むかしむかしのお話
- 2013年(平成25年):「伊勢」と「出雲」
- 2014年(平成26年):博多いろいろ
- 2015年(平成27年):九州旅めぐり
- 2016年(平成28年):日本の和食
その3.筥崎宮・放生会の「新しょうが」とは?
筥崎宮の放生会は、露店(出店)の数の多さでも知られ、期間中は参道と周辺に約500軒もの露店が並びます。
焼き鳥、お好み焼き、かき氷など、色々な食べ物が楽しめますが、その中でなぜかよく見かけるのが、「新しょうが(新生姜)」や生姜漬けを売るお店です。
「放生会に新しょうが」の理由
放生会は「ナシもカキも放生会」という言葉があるように、かつては梨、柿、栗など季節の食材の露店が多く出店していました。
箱崎にはしょうが農家が多かったことから、採れたての新しょうがを葉付きで売る店が多く、箱崎の秋の風物詩、放生会の名物となったのです。
戦前は、博多町人の奥さん、いわゆる「ごりょんさん」たちがお土産に買って帰るのが恒例となっていました。
また、博多の人が忙しくて放生会に行けない時、近所の人が代わりにお参りしたお土産に、新しょうがを買って配るということもあったそうです。
新しょうがは、辛味がさわやかで、スライスや千切りにしただけでも食べられます。
甘酢漬けが定番ですが、醤油を付けてご飯のお供にしたり、そばやうどんの薬味にしたり、炊き込みご飯にしたりしても楽しめます。
葉の部分は、捨てずにお風呂に入れるという人も多いようです。
今では旬のものを取り扱う露店は少なくなっていますが、かつての習慣が今に残る「新しょうが」のお店を、ぜひのぞいてみてください!
新しょうがの販売場所
- 筥崎宮参道の露店
新しょうがが買える時間
- 店により12時頃~21時頃
新しょうがの値段
- 本数により1束500円~2000円程度
【番外編】景品が豪華!放生会の鳩みくじ
筥崎宮では、放生会と初詣の時に、豪華な景品が当たる「鳩みくじ」が用意されています。
みくじと言うくらいなので、当然、大吉、凶などの運勢が書いてあるのですが、さらに!飴や絵馬、箸からホテルのランチ券、温泉招待券、旅行券、航空券などまで様々な景品が当たるのです。
今後1年の運勢はさておき、これはもう、目の前の景品に目が釘付けになります・・!
鳩みくじが引ける期間・時間
- 放生会期間中(9月12日~18日)、7時30分~22時頃
鳩みくじの値段(初穂料)
- 1回300円
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